01

試合に出なかった一日を、どう受け止めるか

練習では頑張っているのに、試合ではほとんどコートに立てない。育成年代の現場で、何度も耳にしてきた話です。

ベンチから学べることはあります。ただ、実際に守られてみる、判断を間違える、失敗した後にもう一度選び直す。その経験は、試合を見ているだけでは置き換えられません。

選手が試合の中で何を経験できているのか。出場時間の長さだけでなく、その中身まで考えたいと思っています。

02

競争と、経験する機会を奪うことは違う

競争は必要です。勝ちたい気持ちも、目標に向かって努力することも否定しません。

ただし、まだ成長の途中にいる子どもたちを早い段階で固定的に分け、同じ選手だけが実戦経験を積む仕組みを「競争」の一言で片付けてよいのでしょうか。

今日上手な選手が、数年後も必ず上手だとは限りません。今の評価だけで次の経験まで決めないことが、育成年代には必要だと考えています。

03

勝つことを否定したいわけではない

勝った喜びや、一つのチームで何かを成し遂げる経験には価値があります。

それでも、育成が目的の年代で「勝つためだから」という理由が、いつも同じ選手を使う説明になってしまうことには違和感があります。

勝負に向き合う厳しさと、選手の成長機会を広げること。その両方を追求できないかを問い続けたいのです。

04

指導者の仕事は、選別して終わることではない

指導者が見るべきなのは、今できるかどうかだけではありません。何につまずいているのか。練習の設計を変えれば、どんな選択ができるのか。実際の試合で何を試せるのか。

出場機会を設計することは、全員に同じ役割を与えることでも、準備や安全を無視して出場させることでもありません。

相手や大会の条件も踏まえながら、できるだけ多くの選手が考え、判断し、次の課題を持ち帰れる場をつくる。その工夫こそ、育成指導者の仕事だと思います。

05

保護者が聞いてよいこと

「うちの子を出してください」とお願いしなければいけない関係は、できればつくりたくありません。

その代わりに、「いま何を学んでいるのか」「次にどんな経験を積めるのか」「そのためにチームは何を用意しているのか」と尋ねることは、決してわがままではありません。

指導者も保護者も、子どもがバスケットボールを続けたくなる環境をどうつくるか。その話を同じ目線でしたいと思います。

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この本を書いた理由

Riot Basketball Academyの全国クリニックやBACKBONE、3x3、U12・U15の現場では、判断する時間と実際にプレーする経験を大切にしています。

地域やチームが違っても、出場機会や早期選別について寄せられる問いは驚くほど似ています。目の前の選手と関わるだけでなく、その問いを言葉として残そうと思い、一冊の本にしました。

『ベンチは育成じゃない。』は、誰かを責めるための本ではありません。子どもにどんな経験を残せるのかを、保護者、指導者、チームの皆さんと考えるきっかけになればうれしいです。

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読んだあと、できること

まずは、自分のチームでどんな選手が、どれくらい実戦の判断を経験できているかを振り返ってみてください。

同じ考え方である必要はありません。意見が違っていても構いません。ただ、子どもたちの成長を中心に話せる場所を、これからも増やしたいと思います。

2026年10月9日、Amazon Kindleストアで『ベンチは育成じゃない。』の販売が始まりました。Kindle Unlimited対象の電子書籍です。Amazonで書名を検索していただけます。