「全員出す」は、勝敗を軽く見ることではない
試合で勝ちたいと思うことと、全員に実戦経験を残すことは両立できます。問題になるのは、育成年代の公式戦が、いつも同じ少人数だけの経験の場になってしまうことです。
プレーしなければ得にくい学びがあります。守備の距離感、緊張した場面での判断、ミスのあとの立て直し、味方との関係づくり。これらはベンチから見ているだけでは十分に経験できません。
イングランドは、出場機会をルールとして組み込んでいる
Basketball EnglandのJnr. NBLでは、U12、U14の複数カテゴリー、U16 Regional CompetitionでAll Must Playを採用しています。第1・第3クォーターを5分ずつの区切りに分け、一定数の選手に実際の出場機会が生まれるよう運用しています。
ただし、全員を完全に同じ時間だけ出す制度ではありません。登録人数によって運用が異なり、11・12人目の選手の扱いには裁量もあります。大切なのは、「誰もがプレーする機会を持つ」という考え方を競技運営に入れていることです。
フランスのMiniBasketは「公平な出場時間」を明記している
FFBBのMiniBasket規程では、U7・U9・U11について個人守備を基本とし、出場時間を選手間で公平に配分することが明記されています。
さらに、人数を減らしたゲームや複数コートの活用を提案し、待っている時間を減らしながら、できるだけ多くの子どもがプレーできる環境をつくろうとしています。
カナダは「意味のある参加」を重視する
Canada BasketballのYouth Rules Guidelinesは、U7〜U14で出場時間を含む年齢相応の競技環境を整え、実際に技能、自信、チームワークを育てられる参加を重視しています。
ここで見るべきなのは、出場したかどうかだけではありません。ボールに触れたか、守ったか、自分で選んだか、失敗のあとにもう一度プレーできたか。育成では、出場時間の中身まで考える必要があります。
「役割があるから出なくていい」にはしない
ベンチから声をかける、仲間を支える、試合前の準備をする。それもチームの大切な役割です。
ただし、それを理由に実戦経験がほとんどない状態を長期間正当化するのは別の話です。育成年代では、チームへの貢献とプレーする経験を切り分けて考えたいところです。
RBAが見るのは、分数だけではなく経験の種類
5分出た選手と10分出た選手を比べ、数字だけで公平かどうかを決めても十分ではありません。大切なのは、その時間にどんな経験をしたかです。
ボールを運ぶ、マッチアップする、シュートを選ぶ、失敗から修正する、終盤を経験する。育成年代では、複数の役割と局面を経験できるように試合を設計していきます。
- 帯同した選手が実際にプレーできているか
- 同じ少人数だけが重要局面を経験していないか
- 選手ごとの役割が早く固定されすぎていないか
- 出場時間の中で判断する場面があるか
- 次の試合で別の役割へ挑戦できる余地があるか
