01

指導は練習や試合が終わった後も続く

選手の状態と課題を把握し、目標に合わせて計画を立て、安全に指導する。そして、選手の様子を観察し、成果と課題を整理して、次の指導に生かす。ここまでが指導者の仕事です。

予定したメニューを終えたことや試合の勝敗だけでは、選手が何を学び、何につまずいたかは分かりません。選手のプレーとともに、指導者自身の判断や働きかけも振り返る必要があります。

02

何を身につけるための練習かを明確にする

「判断力を高める」という目標だけでは、何を見て評価すればよいかが曖昧です。例えば「2対1の場面で、守備者の位置を見てパスかドライブかを選ぶ」とすれば、練習で確かめたいことが具体的になります。

練習後は、できたこと、難しかったこと、途中で内容を変えた理由を整理します。選手の失敗だけに目を向けず、課題の難しさ、説明の仕方、人数やコートの広さ、運動量が適切だったかも見直します。

03

起用理由を説明し、次の出場機会につなげる

誰を、どの場面で、何を期待して試合に出したのか。選手の習得状況や体調、試合の目的に基づいて説明します。「監督の判断だから」だけでは、その起用が選手の成長にどうつながるのかは伝わりません。

RBAでは、参加するすべての選手が、成長に必要な経験を積めるように活動を組み立てます。出場時間を毎試合一律にそろえるのではなく、大会の規則や選手の健康状態も踏まえ、活動全体を通して実践の機会を確保します。

出場できなかった選手や、出場時間が極端に少なかった選手については、理由を説明し、次にどのような機会を設けるかを示します。「実力が足りない」で終わらせず、何を指導し、どの場面で成長を確かめるのかまで考えます。

04

安全と尊厳を守る

選手の体調や痛み、疲労の程度、会場の危険箇所を確認し、必要に応じて練習の内容や運動量を調整します。けがの診断や競技復帰の可否を指導者だけで判断せず、保護者や医療専門職と連携します。

暴力や暴言、侮辱、威圧によって選手を従わせず、質問や相談をしやすい環境をつくります。改善を求めるときは、具体的な行動と取り組み方を伝えます。選手の人格を否定したり、本人や保護者への好き嫌い、意見の違いを起用に持ち込んだりしません。

05

記録を次の指導に役立てる

記録には、何を目指して指導し、実際に何が起き、次に何を変えるかを残します。長い報告書や見栄えのよい資料は必要ありません。練習ノートや起用表、短い箇条書きでも、次の内容を確認できれば十分です。

  • 目的 何を身につけるための練習や試合だったか。
  • 判断 どのような練習や起用を選び、なぜそうしたか。
  • 事実 選手のプレーや出場状況、体調はどうだったか。
  • 振り返り 目標に対して何ができ、何が課題として残ったか。
  • 改善 次の練習や起用をどう変えるか。
06

現場と運営がそれぞれの役割を果たす

現場の指導者は、共有された方針と担当範囲に沿って指導し、実施内容、選手の様子、改善点を運営に伝えます。年間方針を別の担当者がつくっている場合も、自分が担当した練習や試合の判断は、自分の言葉で説明します。

運営責任者は、育成方針、現場で判断できる範囲、連絡手順を明確にし、必要な人員や時間、情報、会場を確保します。報告を受けたら、助言や方針の見直し、指導環境の改善につなげます。

現場に判断を任せても、運営の責任は残ります。同様に、運営が方針を示していても、現場が指導内容を説明する必要はあります。報告の内容や頻度は、担当業務と実際にかかる手間を踏まえて決めます。

07

自分の指導を説明し、見直す

結果が出なかったという理由だけで、指導が間違っていたとは言えません。目的に合った指導だったか、安全と尊厳を守ったか、選手に必要な経験を積ませたか、振り返りを次の指導に生かしたかを確かめます。

分からないことは確認し、記録がないことを推測で埋めず、必要な支援は求める。そのうえで、自分が担当した指導の理由と結果を説明する。指導者には、自分で判断する力と、自分の指導を見直し続ける姿勢が必要です。