01

改革の出発点は、バスケットボールだけの問題ではなかった

フィンランド・オリンピック委員会は、子どもの身体活動が減り、座って過ごす時間が増えていることを課題として挙げています。2024年に示された整理では、7〜15歳で国の身体活動推奨を満たす子どもは36%でした。

同時に、スポーツを始める年齢が早まり、クラブを離れる年齢も早くなり、一つの競技へ絞る時期も早くなっているとされています。そこで複数の競技団体が、子どものスポーツそのものを見直す共同プロセスを進めました。

02

「子どものスポーツは、大人の試合の縮小版ではない」

2025年にチームスポーツ各競技がまとめた共通方針では、子どもの時期に『子ども時代のスター』をつくることを目的にしないという考え方が示されています。

Basketball FinlandのHenrik Dettmannは、子どものスポーツは子どもの遊びであり、大人のゲームではないという趣旨を述べています。重要なのは、競技性を消すことではなく、子どもの発達段階に合わせて競技の形を組み替えることです。

03

2026–27から、6〜8歳では公式結果も順位表も持たない

Basketball Finlandが承認した2026–27シーズンのルールでは、6〜8歳のリーグ戦では公式の記録表をつくらず、試合結果も公表せず、順位表も設けません。地域決勝も行わず、希望者が参加できるシーズン終盤のイベントは開催可能としています。

9〜10歳では試合結果は記録・公表しますが、順位表はつくらず、地域決勝も行いません。年齢が上がるにつれて競争要素を段階的に増やす設計です。

04

変えているのは試合だけではない。練習の中身と移動も見直す

チームスポーツの共同方針では、短い練習へ何度も送迎するより、たとえば週3回60分ではなく週2回90分のように、一回の活動時間を確保しながら移動回数を減らす案が示されています。

さらに、練習時間の約80%は実際に身体を動かす時間にし、そのうち半分ほどをさまざまなゲーム形式にすることを勧めています。『練習へ行った時間』ではなく、『その中でどれだけ動き、ボールに触れ、判断したか』を見ようとしています。

05

大会も「一試合のために遠くへ行く」形を見直す

共同方針では、子どもの年代で一試合だけのために長距離移動する機会を減らし、一度の移動で複数のゲーム経験を得られる1回の移動で複数の試合経験をつくるゲームデー型の考え方が提案されています。

これは試合数を単純に増やす話ではありません。家族の移動負担、費用、子どもの総運動量、他の競技や遊びの時間まで含めて『その一日が子どもにとって良い活動になっているか』を見直す発想です。

06

RBAが注目したいのは「順位表をなくした」ことだけではない

日本でこの事例を紹介すると、『勝敗をなくすのか』という議論になりがちです。しかしフィンランドの改革は、順位表の有無だけを変えたものではありません。

運動量、ゲーム時間、移動、費用、複数競技への余白、個々の子どもへの関わり方まで、一つの枠組みで見直しています。RBAが参考にしたいのは、勝敗を否定することではなく、子どもの年代に合わせて競技システムそのものを調整する姿勢です。

  • 大会の目的が順位だけになっていないか
  • 練習時間の中で実際に動いている時間はどれくらいか
  • 一試合のための移動が子どもと家庭へ大きな負担になっていないか
  • 他の運動や遊びを選べる余白が残っているか
  • 低年齢の段階から大人と同じ競争構造を急いでいないか