1980年代の成功は、偶然ではなく長期的な育成の積み重ねだった
Svetislav Pešićが率いた旧ユーゴスラビアの若い世代は、1985年のU16相当、1986年のU18相当、1987年のU19世界大会で3年連続の金メダルを獲得しました。
その世代にはVlade Divac、Toni Kukoč、Dino Rađa、Aleksandar Đorđevićらがいました。Pešić自身も後年、若い選手は急速に伸びる一方で壊れやすい存在だと振り返り、選手としてだけでなく人として育てる経験が、自身のコーチとしての土台になったと述べています。
ただし、セルビア自身が「昔のままでいい」とは考えていない
PešićはFIBAのインタビューで、旧ユーゴ時代から選手発掘と育成の哲学を学べる一方、時代が変わった以上、セルビアのバスケットボールも新しいアイデンティティをつくらなければならないという趣旨を話しています。
昔の成功事例を神話にせず、現在の選手、クラブ、経済環境、国際競技の変化に合わせて方法を更新する。その姿勢が、伝統を生かし続けるために必要だと考えられています。
現在のユースコーチは、毎年学び続けることを求められる
セルビアのバスケットボール連盟系リーグが案内した2026年のTrenerski daniでは、育成年代および混合カテゴリーのコーチにとって、年間の継続教育の一部として参加が必須であり、ライセンス取得・更新の条件とされています。
2026年の講習テーマには、接触を伴うオフェンスだけでなく、『優位性と意思決定』も含まれています。伝統的な技術論だけではなく、現代のゲームで必要な判断やスペーシングへ内容を更新しています。
育成年代の教材は、ドリル集だけではない
2023年の継続教育では、ミニバスからジュニア年代までの若い選手を指導するための教材として、技術習得の方法、練習計画、トレーニングを時期ごとに組み立てる考え方(ピリオダイゼーション)、負荷の配分、練習種目の選択、心理発達までを扱う専門書が提供されています。
『バスケが上手かったから教えられる』だけではなく、年齢や発達、負荷、心理まで理解することを指導者の専門性として扱っています。
Pešićが強調するのは、若手選手より先にコーチを支えること
Pešićは、選手育成の中心にいるのはコーチであり、周囲はそのコーチを支えるべきだという考えを示しています。各地のコーチとつながり、ユース代表の練習方法を共有し、新しい条件やトレンドへ適応する必要性も語っています。
同時に、若い選手には実際にプレーする場所を用意しなければ育たないとも述べています。指導者教育と出場機会は別問題ではなく、どちらも選手育成を成立させる条件です。
RBAが参考にしたいのは、「伝統」ではなく更新する仕組み
セルビアの育成を『昔からバスケが上手い国だから』で終わらせると、学べることがなくなります。
重要なのは、過去の成功を持ちながらも、コーチに継続教育を求め、意思決定や負荷管理など新しいテーマを学び続けていることです。育成年代の指導者は、選手に成長を求める立場だからこそ、自分の指導も更新し続ける必要があります。
- 資格取得後も学び続ける仕組みがあるか
- 過去の成功体験をそのまま若い選手へ押しつけていないか
- 技術だけでなく発達・負荷・心理を学んでいるか
- 現代のゲームで必要な判断を指導者も学び直しているか
- 若手選手に実際の出場機会を用意しているか
